独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~

「頬を引っ張ると、よりフェレットに似てるな。オコジョとか」
「らにを言ってるんれふか」
「可愛いって言ってる」

頬を解放してやると、初子が俺をじいっと見つめてきた。

「連さん、あの誤解をしないでいただきたいのですが、越野支店長には奥様とお子様がいらっしゃいます。私が懸想するようなことはあり得ません。ですが、連さんの妻という立場にありながら、元上司とはいえ他の男性に近づき過ぎました。お許しください」
「ああ、もう! そうじゃないんだよ、初子」

俺は困って、初子の顔を覗き込んだ。
黒くて丸い瞳に俺が映っている。この目はいつも真摯に俺を見つめているのに、俺の気持ちなんかまったく気づいてくれやしない。いいや、言ってしまえ。

「初子、キスをしないか」
「え」
「キスは許可制と言っただろう? その許可を今、求めている」

言葉じゃ伝わらないなら、行動するしかない。俺が初子を妻として大事にしたいということ。
恋か愛かと言われればわからない絆だが、俺は初子を独占したいし、俺にだけ可愛らしく笑ってほしい。
好きになってほしい。
だから、俺は好意を見せる。この鈍感で初心な女性に対して、わかりやすくはっきりと。

「キス、最初のときに一方的に奪ってしまってすまなかった。キスがどういうものか教えてやる」
「いえ、もったいないことを……。私なんかにお気遣いは要りません」
「気遣いでキスなんかするか。キスはしたいときにするんだ」