「ね?いっしょにあそぼうよ!」

「っ……でも、私は家の中で本を読んだりお絵かきする方が好きなの」

「でも、おそとであそんだことないんでしょ?」

「!っ……それ、は……」

"でも"って言ったら"でも"で返されて、そんな事も初めてだった。
初めてだらけでタジタジの私に、ツバサは屈託なく接してきてくれる。

「なら、やってみなきゃわからないよ!
あそんでみたらたのしいかもしれないじゃん!ほんよむより、おえかきより、たのしいかもよ?」

そう言って私を、みんなの輪の中にあっという間に引き込んで行った。

鬼ごっこ、かくれんぼ、影踏み……。遊び方を知らない私の手をツバサはずっと放さないで、一緒にいて、引っ張ってくれた。
縄跳び、ボール遊び、泥遊び……。ツバサは私よりも年下なのに色んな事が出来て、器用で、お手本を見せながら色んな事を教えてくれた。

汗だくになる事も、泥だらけになる事も、水浸しになる事も……。遊んでいる内に、全くに気にならなくなった。
それくらい遊びに夢中にーー……。ううん、私はツバサに夢中になっていくのだった。


いつから好きだったの?
って聞かれたら、分かんないなぁ。
手を繋がれたあの瞬間から?
って思えば、そうなのかも知れない。

そんな、曖昧にも聞こえるかも知れない答え方しか出来ないくらい、自然に、いつの間にか恋をしてた。
絵本の王子様のように綺麗な花や指輪を差し出してくれたりなんてしないけど、「はい、半分こ!」ってツバサが割って差し出してくれるおやつが、今までの何よりも1番美味しく感じたの。

『ずっと、一緒に色んなものを半分こして生きていこう』

私がきっと彼にプロポーズするのならば、その台詞を言うと思う。