「《!……え?本当っ?!君の名前、あの鳥が羽ばたく為に使う(ツバサ)??》」

待ち合わせ場所まで案内する最中。
名前を聞かれて自己紹介をすると、俺の名前を聞いた少年が驚きながら空に飛ぶ鳥を指差して尋ねてくる。

「《はい、そうです》」

「《うっわぁ〜!マジか!
ボクの名前もね、一緒だよ!異国の言葉で鳥の翼、ジャナフって言うんだ!》」

頷いて答えた俺に、彼……。いや、ジャナフはまさかの偶然にとても嬉しそうに笑った。

でも、偶然はそれだけじゃない。
俺とジャナフは他にも共通点がたくさんあって、年齢も同じ、身長も同じ、四人兄弟の末っ子という点も一緒で、違うのは誕生日くらいだった。
ジャナフは眼帯の事を聞いてこなかったから俺が虹彩異色症(オッドアイ)である事は知らないと思うけど、それを知っているこっちはあまりの偶然に少し怖いくらいだ。
……けど。そんな俺の気持ちをかき消すように、ジャナフが明るく言う。

「《そっかぁ〜。なら、ツバサを100点満点って言ったの、あながち間違いじゃなかったかもね!》」

「《!……え?》」

そう言えば、腕を掴まれた時にそんな事を言われたな、と思い出す。
あの言葉の意味はどう言う事だったんだろう?と、思っていると、それを察したようにジャナフが言った。

「《ボクね、自分の人生の相棒(パートナー)をずっと捜してたんだ!
本当はお嫁さんに出来る女の子を捜してたんだけど……。ここまで似てる友達を異国で見付けられたのは、良い事だよね!》」

「《!……友達?》」

「《うん、ボク達もう友達でしょ?
……あ!もしかして、そう思ってたのボクだけっ?!》」

友達と言われて驚く反応をしてしまった俺を見て、ジャナフはガーン!と言う効果音がピッタリな位なリアクションをする。
両手で両頬を押さえて、ウルウルと瞳を潤ませる姿はなんか子犬みたいで可愛くて、俺はまた思わずプッと微笑ってしまうんだ。

不思議と、惹きつけられるーー。

とても初対面だとは思えない雰囲気。俺は、ジャナフと居ると何故か心地良かった。