「レベッカ!っ……誰っ?私を、訪ねて来た人、って……もしかして、……ッ」

もしかして、ツバサが来てくれたーー?!

レベッカの腕を掴みながら、言葉にならない程の期待に心臓は今にも止まりそうだ。
そんな私の耳に届いたのは、……。

「ーーもしかして、レノア?」

ツバサとは違う、男の子の声。
でも、その人柄が伝わってくるような優しい声は、スッと私の心に染み込む。

「レノア?っ……本当に、レノアッ?!」

そして、私を確かめるように呼ぶ、女の子の声。
感激、感動……そんな感じで震えた声で私を呼ぶ。

二人の声を聞いて、訪ねてきた人物がツバサではない、と分かったが、私の心は何故か落ち着いていく。
声の方に視線を向けると、黒髪に黒い瞳のそっくりな男の子と女の子が、こちらを見ていた。

「っ、……ライ、と……ラン?」

私の中に蘇る昔の記憶と同時に、自然とその名前が口から出ていた。
すると幼い頃の面影を残した二人が嬉しそうに微笑ってくれて、昔のように変わらず私に飛び付いて来てくれる。

「レノア!良かったぁ〜覚えててくれた!!」

「レノア!会いたかったよぉ〜!!」

その様子と言葉。そして二人の暖かい温もりにジワジワと嬉しさが込み上げて来て、私の瞳から涙が零れ落ちた。
本当に?本当に?と、信じられない気持ちで確かめるように二人を抱き返す。

「覚えてるに、決まってるよっ!
私も、っ……会いたかった!会いに来てくれて、ありがとう!」

10年振りの再会を喜ぶ私達。
レベッカはそんな私達を、ただ黙って見ていてくれた。