ちょいちょい。
バスィーム王子が手招きしている。


「え……」

「御呼ばれね。いってらっしゃい」

「いやっ、でもちょっと……」


あのずば抜けた美の花園に入る勇気がない。

バスィーム王子に続いて、ファイサル船長が微笑み、バディーアが煌めく満面の笑みで私を呼んだ。厨房からルゥルゥの禍々しい視線を感じた。


「行きなさいよ。待たせるような女じゃないでしょッ!」

「いっ、いってきます!」


飲み物を持って、居た堪れない気持ちで王子たちのテーブルに向かう。
 

「悪いな。レイスと朝の一時を過ごしていたのに」

「いえいえ、おはようございます」


4人とも朗らかに朝の挨拶を返してくれた。