レイスのとめどないお喋りは、姉たちの小鳥みたいな可憐さとはかけ離れていたけれど、それなりに楽しかった。レイスは暑苦しくても優しいし、面倒見がよいのだとわかる。


「あ、バンビちゃん。見て御覧なさい」

「?」


指差されたほうを見て、目を疑った。


「どう? あの子。悔しいけど敵わないわよねぇ~」

「……」

「あんたはいいわよ。まだ女の子だもん。アタシなんかどう頑張ったってあの可愛さには負けるわぁ~」


少し離れた席に、儚い天使のような女性が座っていた。

いつも思うけど、私も黒髪なのに、あんなふうに艶めいたりしない。長い髪は柔らかくうねり、朝靄に溶けてしまいそうだ。真っ青な瞳は夢を見るように宙を漂っている。