いい。返事とか、挨拶とか、今の彼に求めるのは酷だ。
私は力一杯に頷き返し、もう一人のガチムチと別れた。

名前は、誰かに聞けば教えてもらえるだろう。

そして、レイスは食堂にいた。
自室に行くのは気が向かなすぎたので、いてくれて(まだ)よかった。


「まあっ! あらやだっ! んもぉ~う、ふたりともつれないんだからッ! あんたも余計な仕事抱え込むんじゃないわよッ。っていうかわかるでしょう? 女のくせに繊細な乙女心にケチつけんじゃないわよっ!」

「そうですねぇおはようございますっ!」


朝の食堂は、静かだった。
レイスが叫ぶまでは。


「でもありがとね♪ お礼になんでも奢ってあげるわよ。一緒に食べましょお~♪」

「……」


私はふたりの男性を助けた。
それで充分だ。