「いやぁ、君が物覚えがよくて本当に助かったよ」

「いえいえ」


この人の役に立てるよう頑張りたい。心からそう望んでいる。そして努めている。
ファイサル船長は晴れやかな笑顔だけど、物凄いクマだ。


「きちんと睡眠とってくださいね」

「ありがとう。ああ、引継ぎが終わったら俺の寝袋は撤去するから、それまでは置いておいてくれ」

「もちろんです。いつでも構いません」

「君は優しいな。ダリヤ」


ふんわり微笑むファイサル船長のお美しい事と言ったら!
この顔が見られるだけで役得と言うものだ。
クマがまた、ぞっとするほどキレイに見せる……寝て欲しい。

この人になにかあったら、飛空艇は真っ逆さまだ。