「……はい、肝に銘じます」

「ははは☆彡」


バスィーム王子はふいに優しい表情になって言った。


「お前に話しておきたい事がある」

「はい、なんでしょう」

「たとえお前が計算を間違ったり、思ったように通訳がこなせないような事があっても、俺は一緒に旅を続けたい。踊れなくなっても、誰かと仲違いしても同じだ」


意外だった。
私は自然と王子の声に聞き入っていた。


「そしてこの旅から何かの理由で抜ける日が来たら、降りたあとも覚えておいて欲しい。お前は特別だった。能力は努力で伸ばせる。お前には才能があるだろう。でも、お前自身が、ただのダリヤというだけで特別なんだ」