「では、ダリヤのお望み通り、この中で一番まともなヤツのところに連れて行ってやろう」

「お、お願いします!」

「走るぞ!」


──はい?


「みんなお前に興味津々だ。捕まるなよ!」

「えええっ? ちょっ、まっ、待ってくださいよバスィーム王子ぃ~!」


全速力。
唐突な、全力疾走。

これは私の体力が試されているのだろうか。
バスィーム王子はまるで風のように、チーターのように、飛空戦の回廊を駆け抜けていった。

仕方なく私も追いかけた。