右・左と足を繰り出しながら、自分の歩数を数える。
平常心に戻るには精神統一がいちばんだ。


「次は、普通の人をお願いします」

「ハハハ☆ レイスは面白いヤツだからな」

「そうですね」


もう棒読みだ。

回廊をぐるっと回る。
乗っている人たちはみんな、バスィーム王子と友達のような挨拶を交わしていて少し驚いた。

こんな人でも一国の王子なのだ。
それにしてはみんな、とても砕けている。


「俺たちは家族だからな☆彡」

「……」


バスィーム王子が真珠のような歯を煌めかせて朗らかに笑った。
それがとても誇らしそうで、愛に溢れていて、私は少しだけ気分が和んだ。