「というわけで、貴公のご息女をしばらく経理兼通訳として貸してはもらえないだろうか」

「本当にうちの子なんかでいいのかしら。国から一歩も外に出たことないんですよ」

「であれば、こちらも案内冥利に尽きるというものだ。見聞を広めるにはうってつけの旅になる」


おほほほ♪
あははは☆

お母様とバスィーム王子の笑い声がハモった。


「まあダリヤ! 王子様に見初められて世界旅行なんてすごいじゃない!」

「お、お姉様……」

「お土産は宝石がいいわ!」


アミーラお姉様に、いつもより激しく撫でくりまわされて髪がボサボサ。


「ダリヤ! あなた給仕の命を救ったんですって!? もうついに自分が王子様ねッ!」

「お、お姉様……」