バスィーム王子が両手を高々と上げて、美声を轟かせた。


「皆様! 今宵わたくしから国王陛下へお捧げするのは、我がバラム王国に古より伝わります、繁栄を祈願する舞曲でございます! ご覧ください! ──『 黄 金 の 蛇 』!!」

「……っ」


目立ってます王子……!
手を、離して……!


「おおお!」


あちこちから歓声が上がった。
 
珍しさもあって、その伝統の舞というものをだれもが食い入るように見つめている。

私はガチムチの二人を見つけようとさえ思わなかった。バスィーム王子に手を握られたままで、そんな余裕はなかったからだ。