「これまで王家のため陰ながらよく務めてくれた」

「貴女を汚れ仕事より解放しようと思う」


瓜二つの顔が交互に言うのを眺めて、私は頭を垂れた。


「勿体ないお言葉です」


クビか……。
目立った不始末は起こしていないはずなのに、残念だ。


「顔をあげてくれバディーア」

「貴女を追い出そうというのではないんだバディーア」


マグディー王子とマフディー王子は双子で、どちらがどちらか判別できない日がほとんどだ。ただ、どちらかではある。それだけで充分だった。

第一王子と第二王子の見分けがつかない。
それが安全策なのだから。