生まれ育った故郷をあとにして、飛空艇が空へ昇っていく。
私は風に包まれて、雲を越えて、星と同じところまで、また帰ってきた。

夕焼けを眺めている私の傍には、私を見つめて、私を呼んでくれる、愛しい人。
彼のあたたかな腕に抱き寄せられて、そっと身を任せた。


「ダリヤ、また新しい旅が始まるぞ」

「はい」


風は優しく私たちの髪を撫でる。

通訳兼、経理兼、踊り子兼、婚約者。
私の役割はとても大きくて、この一座にとってかけがえのない存在だ。それを自覚させてくれた大切な仲間たちと一緒に、私の旅は続いていく。
 
ひとりひとり、かけがえのない存在。
誰も欠けてはいけない。
連なって名前を持ち、意味を持つ星座のように。

私たちは、この空に輝き続ける。