伴奏が激しさを増し、広間の中央にメイムーンを残し3人が散った。
気づいた時には王子が私の足元に跪いて、情熱的な眼差しで薔薇を差し出していた。お母様がなにかを察したように私の手を離す。


「……」


髪に薔薇を挿したルゥルゥがバディーアと組んで踊り出した。少しぽっちゃりしていようと彼女も踊り子だ。躍動感はもう爆ぜるようで、新たな主役の登場に広間が沸いた。

王子が眼差しで私を誘う。


「……!」


私は薔薇を銜え、王子の手を取った。
メイムーンを中央にして5人で熱狂的な歓声を浴びて踊る。ファイサル船長とライラはもう、席で濃厚なキスを繰り広げている。

婚約というか……。
家族や親類の前で大胆な踊りを披露して、すごくいい気分だった。

これが私だ。