「ハハハっ☆」


と、バスィーム王子が豪快に笑う。
相変わらず白い歯が煌めいた。真珠か。
 

「……」


キョトン、というか、困惑と混乱で茫然自失だ。
バスィーム王子の拳がお腹から離れた。

助かった。


「思った通りいい声をしているな。扱けばもっといい声になるぞ」

「いえ……」


望んでない。

銅鑼の音が断続的に重なり、竪琴と縦笛の旋律が絡んでくる。

珍しい音楽だと感じた瞬間、閃いた。
これが噂の、バスィーム王子お抱え道化師一座の余興なのだ。