今日は昼間から分厚い雲に上下を挟まれ、雨がぱらつく時間も多かった。
風が強くなければ焦る事もない。
湿った夜空で朧月を間近に眺め、甲板によりかかっていると、後ろからトンッと背中を押された。
「ヒッ!?」
いや、落ちないけど。
恐いでしょう。
「王子!」
絶対にバスィーム王子の悪戯だと思って振り返り、私は凍りついた。
「……ルゥルゥじゃん」
「今なら殺せる」
「やめてっ?」
こんなに恨まれるのは、正直、私のせいではない。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…