それが気品なのか人徳なのかわからないけれど、とりあえず笑顔で手招きされた。私はジョッキを両手で持って傍まで行って、王子とドワーフの王子の間に座った。


「〝こんな可愛らしい女性を妃にするとは、果報者ですな砂漠の王子よ〟」

「〝誠実で真面目な努力家だ。アルトー語も彼女が先に学び、みんなに教えた〟」

「〝素晴らしい!〟」


それからドワーフの王子は、取り巻きを従えて、婚礼を祝う伝統舞踊を披露してくれた。

バスィーム王子からは、まだはっきりと言葉で伝えられたわけではない。でも、愉快ではあるものの真面目で誠実な王子の事だから、私も……そういう事なのだろうと、感じている。

宴の夜は更けていった。
これもまた、思い出の1頁。