私の腰と腕を持ったのは、酒の入ったメイムーンだ。
夜の食堂はカオス。覚えたてのサピエタ語を乱発しながら、勉強会と称した酒宴が開かれている。

受け入れたほうが楽。
飛空艇に乗って以来、私はその姿勢を貫いている。
 
きっちり腹話術の人形を演じて、笑いを取った。


「ははは☆彡」


バスィーム王子も上機嫌だ。
やおら立ち上がった王子はこちらにやってくると、メイムーンから私を引き取って背後に立った。


「アタチ、ダリヤヨ! バチームオゥジノ、オヨメタンニナルノッ!」

「ヒューヒュー!」

「〝熱いっ! 熱いわッ、燃えちゃうわッ!!〟」

「……」


もー、人前でやるのやめてほしい!