静かな図書室でサピエタ語の勉強に勤しんでいる。

次に向かうのは、機械帝国マキナゥスブスだ。
荒廃した土地に科学者が住み着き、軍事と産業で建国を果たした。その建国30周年記念式典にバスィーム王子が招かれて、お約束の余興で建国の過程を神話的に表現する。

ファイサル船長が企画・構成、ブルハーンさんが作曲中。
ホスニーは衣装の試作を縫いまくり、ライラは機械移植を猛烈研究中。
レイスとバディーアとメイムーンは万が一に備えて武術の訓練場で修行。

私としては、とてーも恐い。
軍事国というだけで恐いのに、マキナゥスブスには意志を持つマリオネットがいるらしい。どういう事だろう。世界は不思議に満ちている。


「ダリヤ」

「〝その椅子に座ってはいけません〟」

「なんだ?」


 バスィーム王子の手が背後から下りてきて、分厚い書物に指を置いた。