「ダリヤの控えめな性格は魅力だが、どうしてそう自信がないんだ?」

「それは……私なんか……っ」


苦い記憶が蘇った。
4人姉妹で私だけ可愛らしく育たなかった。
女性的な魅力がないと言われたし、婚約も破棄された。
どんなに頑張っても、私の好きな事は人に求められる能力じゃなかった。

私なんて、要らない。
私なんて、誰にも見えないんじゃないかと、思ってきたから。


「……」


だけど。
王子と出会ってから、そんな気持は忘れていた。

私を特別だと言ってくれた人のおかげで、私はひとりじゃなくなった。
その本人が、私を好きだなんて。
そんな事って、あるのだろうか。


「バスィーム王子」

「ああ」

「どうして、私を……」