「き、気持ちって……」

「ダリヤ」


バスィーム王子が近づいてくる。
いつもと違う、笑いの欠片もない真剣な表情が月に照らされている。

私は唇を舐めて、妙に荒くなった息を鼻息で逃がした。


「お前が好きだ、ダリヤ」

「……」

「お前は? 俺を好きか?」


直球だ。
目が燃えるように熱い。頬が熱い。首も熱い。ぜんぶ熱い。


「その……っ、私は、こういうのは慣れていなくて」

「わかっている」

「なので、あの……昼間のアレが、私は……」

「嫌だった?」

「嫌じゃ、なかったですけど……っ」

「けど?」

「その、確信がないんです」

「ほう」


王子の手が私の頬にのびる。