いくら硬派なファイサル船長でもあのライラの姿を見たら、目尻を下げるはず。
そんな期待も込めて再び正面を向くと、既に立ち上がったファイサル船長の膝しか見えなかった。


「彼女も君の事を気に入ってる。いい友達になれそうだと言ってね」

「それは……」


嬉しいです、とか、よかったです、とか。
そんな感じの事を言うつもりだったと思う。

でも私はポカンと口を開けた。

するりとファイサル船長の体に抱きついたライラを、ファイサル船長もするりと抱きしめ、ぐいっと仰向いたライラの唇に、ぐっと屈みこんだファイサル船長の唇が重なったのだ。


「……」


私、ここに居るんですけど!?


「ヒューヒュー♪」

「えっ?」


今まで気づかなかったけど、向こうの席にバディーアとルゥルゥがいた。