「実は……」


私は王子に水中でキスされた件を打ち明けた。

まず、ファイサル船長は口の硬さや人格的に信頼できる。それに一座の座長なのだから、秘密はよくないと思った。

カクテルを一口飲んで、ファイサル船長が言った。


「そんな気がした」

「はい?」


そんな気って、どんな気?


「君の噂を聞きつけたとき、殿下は純粋に喜んだんだ。絶対欲しいと言ったよ。いい人材だからね。君は人柄もいいし、仲間になってくれて本当によかったと思っている。船長としても、座長としても」

「あ……」

「経理としても」

「ああ、はい」


そこは重要だ。