王子……。


「遊びかなぁ……」


切ないため息が洩れた。

ハッキリ言って、私は中の下だ。

とてつもない不細工ではないにしろ、お姉様たちのように美しくないし、この一座には眉目秀麗が勢ぞろいしている。あのバディーア然り、ライラ然り。ルゥルゥだって少しぽっちゃりしているだけで、素晴らしく可愛い。

私の胸は板だ。


「はぁ」


困る。
とても困っている。

王子が遊びでキスする人だったら、それ自体が嫌だ。
でも王子の立場では選り取り見取りだし、経験も多くて当たり前だと思う。
だいたい、大人だし。

そしていちばん困っているのは、キスされてときめいた自分自身だった。