宮田の屋敷で、彩乃はにこやかに岬を迎えた。

「いらっしゃい、マル、ココ、リン、ナナ。それに、岬くん」

岬に挨拶したというより、連れてきた猫親子に、彩乃は挨拶した。岬の持ったキャリーの中から母猫のマルを抱き上げると、蕩けそうな表情をする。マルもよく会いに来ていた彩乃を知っていて、ごろごろと喉を鳴らしている。飼い主は俺だぞ、と岬は思ったが、これからこの屋敷でお世話になる身としては、不満ごとは言えない。仏頂面をして彩乃を見ていると、彩乃はにっこりと微笑んだ。

「岬くんが来てくれて嬉しいわ。お父様にお願いして良いお部屋を用意させたの。これから執事としてよろしくね」

岬は微笑む彩乃に微笑み返しながら、ぐっと奥歯をかみしめた。