「彩乃さん! 一位おめでとうございます」

秀星が言うのににこやかに微笑んでる。そして順位表を見て、岬を振り向いた。

「岬くんも、二位おめでとう」

にこやかに。

ああーーーーーー!! 勉強で彩乃に上をいかれた、その悔しさと言ったら!!

「……っ、彩乃さんも……、一位、……おめでとうございます……」

悔しくて奥歯を噛みしめる。彩乃はにこりと微笑んで、ありがとうと礼を言った。

「主人ですもの。岬くんより悪い点数を取るわけにはいかなかったわ。おかげで真面目に勉強できました。ありがとう」

その余裕の微笑みが何とも憎らしい! ざわざわと順位表を見ていた周りの生徒たちが彩乃の存在に気付き始めて、声を掛け始めた。

「宮田さん……、だよね? 一位凄いね。入学式の時も答辞読んでたし、もしかして、凄く頭良いの?」

「今度勉強教えてよ」

岬をスルーして、口々に彩乃を褒める周りの生徒たち……。そんな状況を面白そうに秀星が見ていた。

「昔はお前の天下だったけど、今じゃ彩乃さんの天下だな。ざまあみろだぜ」

(お前が俺に勝ったわけじゃないけどな!)

そう言いたかったけど、此処でそれを言ったら、自動的に彩乃に負けたことを認めてしまうことになる。

(いや、まだ最初の中間一回だけじゃないか。テストは期末も二学期も三学期もあるし、これから球技大会だって体育祭だってある……。盛り返すチャンスはいくらでもある……っ!!)

その時には彩乃の上を行ってぎゃふんと言わせてやる。学校は岬の安住の地であり、彩乃に脅かされていい場所ではないのだ……。