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それから俺の理性を保っていたねじが外れたようだった。



彼女と会う回数は途端に多くなり、彼女に触れる回数も増えた。




彼女があまりにも愛しくて、だから少しの間でも離れたくなくて。



いつか彼女に別れを告げられる日が来ると思うと怖くて仕方なくて。



香水もなにもつけていない、その温かい匂いが好きで、安心したくて。



彼女が嫌がっているのは分かっていた。俺だってそんなことはしたく無かった。…なんて言っても無駄だ。それは言い訳にしかならなくて。




ただ彼女のことが好きで仕方なかっただけ…だと、俺は思っていた。




なのに、俺は彼女のことを傷つけていた。




俺だけが安心して、彼女のことを全く考えていなかった。



「莉桜は俺のこと、嫌い?」



だからこそ、あんな質問をしてしまった。答えなら分かっているはずなのに。自分が一番よく分かっているはずなのに。なぜこんなにも自分の気持ちと矛盾しているんだろう…。




「…わからない」




彼女の言葉に、俺は目を見開いた。