「昼間はそうでもなかったけどさ。今、風が強いみたいだぜ。」
「え…?」
「だから、窓の音は風のせい。ユーレイじゃない。廊下にユーレイが出るって話も、ただの噂、本当の話じゃない。」
か、風…だったんだ…。
すっかり本気でユーレイを信じてしまっていた…。
翔くんに教えてもらった窓の揺れの正体に呆気にとられてぽかんと口を開けている間に、翔くんは隙間のあいたカーテンをきっちりと閉めなおしてきてくれた。
あたしは腰が抜けて、お布団の上にぺたんと座り込む。
あたしのもとへ戻ってきた翔くんが、あたしを抱え向かい合うように膝に座らせる。
「わっ」
あたしは小さく声を上げた。
「…ったく。無理すんなって言っただろ。」
優しい声と共に、あたしを包み込むその体。
心臓がぎゅうっとしぼられるような感覚を覚えた。


