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「すぅ…」



帰りの電車。


夕方まで海ではしゃいで遊び疲れた緋奈は、俺の右肩に頭を預けて爆睡だ。


はしゃぎ疲れて眠ってしまった緋奈の顔を覗き込むと、心地良さそうなかわいらしい寝顔に、控えめな寝息を立てていて、なんとも言えない満足感を感じる。


緋奈は一生懸命日焼け止めクリームを塗っていたから、全身日焼けした俺よりはマシだが、朝に会った時と比べて鼻先が赤くなっている。


電車の揺れで時々俺の肩からずり落ちそうになる緋奈の頭を後ろから支える。


車内の人はまばらだから、昼間のように他の人に注目されるようなこともない。


俺は遠慮なく緋奈を自分の体の方に抱き寄せた。


緋奈から微かに香る潮の匂いが、俺を余韻に浸らせる。