そして軽く緋奈の頭を引き寄せ、俺が緋奈の顔を覗き込む。
「俺、緋奈しか無理だから。やきもち妬く必要なんかない。」
「う、うん…っあ、あたしも…!」
すると緋奈は、恥ずかしそうに俯いた。
…恥ずかしがり。
俺が、そんな緋奈の様子に心から満たされていると。
「わっ、見てあのカップルっ!めっちゃラブラブっ!」
「おい、落ち着けっ」
俺らの隣にシートを広げている6人の男女が…いや、正確にはそのうちの1人の女が多分…俺たちふたりを見て興奮している。
それを抑える男が1人と。
そのふたりの様子を見てなのか、または俺たちの様子を見てなのか、どこか呆れた表情をしている男2人と。
声にこそ出さないが、うっとりした表情でこちらを見つめる女2人と。
そいつらの視線に気がついて、俺は体の熱が一気に上昇する。
もう、沸騰寸前だ。


