すると、緋奈がさっきのようにまた眉根を寄せて口を尖らせ、膝を抱えて俺を見上げた。
「あ、あたしより翔くんが…。」
「え?俺?」
俺がなんだ?
「…そこらじゅうの女の子たちがね、さっきから翔くんをみてカッコいいって話してるの…。」
ほっぺをぷくっと膨らませて、再び浮き輪を弄り始めた緋奈。
…は?そんなん、全然気がつかなかった。
たしかに…言われてみれば、その辺の女たちから視線を感じるような気もする…。
さっきの緋奈の表情の意味がわかった。
…てか、勘弁してくれ…他の女なんて、まじで無理だから。
「…怒んなよ。」
「あっ…怒ってないの、ただ…。」
「やきもち、だろ。」
「うっ…」
緋奈の言葉に被せ気味にそう返すと、気まずそうな呻き声が聞こえてくる。
別に俺が他の女と親しくしたとかそういうわけじゃないのに…やきもちを妬いてしまう緋奈がかわいく思えて仕方がない。
頬が緩みそうになるのを堪えて、緋奈の頭を撫でた。


