「…緋奈。今日は絶対俺から離れるなよ。」
ナンパするために海に来てるようなやつもわんさかいるだろう。
緋奈をひとりにしたら、確実に変なやつに声をかけられる。
そんなことは絶対にさせない。
「えっ?うん、人がいっぱいだもんね。はぐれたら大変だし…離れないよっ!」
俺の言葉に反応した緋奈は、一瞬で笑顔を浮かべ大きく頷いた。
……まあ、緋奈の言う通り、それもそうなんだけどさ…。
「緋奈が、ナンパとかされたら困るし。」
鈍感な緋奈に少々呆れながら本音を漏らすと。
「ええっ!ナンパなんてされないよ…!」
大きな目を見開いて、大袈裟だろと思うくらいに首をブンブンと横に振る彼女。
…何を根拠に言ってんだ、お前は。
すでに、知らねぇ男たちから注目を集めておいて。


