そんなことを緋奈に言えるわけがない。


恥ずかしいなら、それを着たままでも海に入れるのなら無理に脱がなくてもいいんじゃないか、とも思ったけど…やっぱ見たい。


考え込んで何も言わない俺に、緋奈はなにか勘違いしたのか眉の端を下げて俺の顔を不安げに覗き込んだ。



「…翔くん?」


「ん?」


「あ、あの…でも本当は、翔くんに見て欲しいの…自分で、選んだから…。」


「…………。」



いや、だからお前…かわいすぎるって。


そんな真っ赤な顔で、見て欲しいなんて言うなっての。


計算してるわけではなく、天然で言っているから困る。


俺と緋奈の間にいる邪魔な浮き輪の盾をどかして、緋奈に顔を近づけた。



「…じゃあ、見せてよ。」


「………っ、うん…!」



緋奈はこくりと頷くと、パーカーのジッパーをゆっくりと下ろした。