「へえ、ここが緋奈の部屋か。」
どこか興味深そうに、あたりをキョロキョロと見回す翔くん。
特別かわいいものをたくさん飾ってるとか、こだわりがあるわけじゃなくて、本当に普通の部屋だからなんだか恥ずかしいや…。
「翔くん、ここ座って!」
ローテーブルの前に座ってもらうように促すと、翔くんはそこに腰を下ろした。
あたしも翔くんの隣に腰掛けた。
「ごめんね、お母さんあんなに早く帰ってくると思わなくて…っ!」
「ん?別に大丈夫だよ。」
「…でも。その、翔くんは…女の人が苦手だし…。」
思いの外、特に気にしていなさそうな翔くんに、あたしはもごもごと言葉を続けた。
「まあ、そうだけど。…ここのところ、ちょっとずつ苦手意識が薄れてきたんだ。」
「…え?」
予想外の言葉に、あたしは驚いて翔くんを見上げた。


