「あ、う、うんっ!」
あたしは、慌てながら首をブンブンと縦に振った。
お母さんに、翔くんと付き合っていることは話していたんだけど。
お母さんと翔くんが会うのは初めてだ。
翔くんのことは、お母さんに早く紹介したいとは思っていたんだけど。
翔くんは女性が苦手だから…万が一嫌な思いをさせてしまったらと危惧していた。
だからお母さんにも翔くんにも、会って欲しいとかそう言う話をまだしてもいなかったの。
好奇の目を輝かせるお母さんをぽかんと見つめていた翔くんは、スッと立ち上がった。
「…初めまして。緋奈さんとお付き合いさせて頂いている、相葉 翔です。」
…っえ。
あたしは驚いて、思わず翔くんの方を振り返る。
綺麗な言葉に綺麗なお辞儀。
翔くんの上品な立居振る舞いに、思わず息を呑んだ。
すると、お母さんはさらに嬉しそうにぱあっと顔を明るくさせた。


