「大事にするわ。ありがとうな。」
そういって、またあたしの頭をくしゃりと撫でる翔くん。
喜んでくれるかな…なんていう心配が払拭されて、翔くんのあったかい大きな手に安心している。
ふふ、あたしも嬉しいや。
「…緋奈。」
「なぁに?」
翔くんは、腕時計の入った箱をそっと閉じて優しい表情であたしの名前を呼んだ。
あたしはそれに首を傾げて、翔くんの言葉を待った。
「こっち、おいで。」
「…うんっ!」
翔くんにおいでって手招きをされたら…もちろん、二つ返事でOKして飛びついちゃう。
翔くんの膝の上に乗って、胸に顔を埋めて背中にぎゅうっと腕を回した。
翔くんのトクントクンっていう心音が良く聞こえる。
心地よくて、落ち着く。
翔くんも、あたしを包み込むように背中にそっと腕を回した。


