なんだろう、この気持ち。
モヤモヤしていて気持ち悪い。
隼人に「彼女」と言われたからなのか、それとも、
「難しい顔しちゃって、どうしたの?」
ふいに、声をかけられた。
振り向くと、廊下に背の高い男の子が立っていた。
「え、と……誰?」
「え、もう忘れちゃったかんじ?この前ぶつかったじゃん、階段で。」
ああ、そういえば。
「ああ!えーっと…陣、くん?」
「そうそう!名前覚えててくれたんだ。嬉しいよ。」
彼…陣くんは、本当に嬉しそうににっこりと笑うと、私に近づいてきた。
「で、どした?何悩んでんの?」
「え…別に、なんでも。」
「隼人のこと?」
私は目を丸くした。
「なんでっ…?隼人のこと、知ってるんですか?」
「知ってるも何も、」
陣くんは、意地悪く微笑む。
「僕、あいつの兄貴だし。」
脳がフリーズした。
一瞬遅れて、彼の言葉の意味を理解する。
「ああ、お兄さんだったんですか!」
今度は、陣くんが目を丸くした。
「あれ、あんまり驚かないんだ?」
「だって、言われてみると確かに似てますもん、陣くんと隼人。」
「そう?」
陣くんは、心なしか嬉しそうだ。
「今日は、私に何か用でも?」
「用がなきゃいけないの?」
「え?」
「用がなきゃ、音ちゃんに会いに来ちゃダメなの?」
「え…。」
「まあ、あるけど。」
陣くんが、さらに私に近づく。
私は思わず後ずさりした。
「音ちゃんさ、」
陣くんの右手が、私の頬に触れる。
「僕と付き合わない?」

