何が書かれているのか想像もつかない手紙は、どうしてもわたしを緊張させた。
弘也さんが最後にわたしに伝えたかった言葉に、恐いような、早く読みたいような、いろんな感情が混ざってしまうのだ。
わたしは、背中を押してもらうつもりで、冷蔵庫にくっ付けていた小さな虹のマグネットを、手のひらに握りこんだ。
手の中の小さな虹は、いとも容易く、弘也さんの存在を感じさせてくれる。
思い出の中の弘也さんは、あの時と変わらずに、確かにわたしの心に在るのだと。
そんな小さな虹に励ましてもらいながら、わたしは、手紙を開封したのだった。
そして、読み終えたとき、さっきとは違う感情ゆえの涙が、ツ――――と、頬を伝った。
そでもれは決してネガティブなものではなくて、
ただ、弘也さんへの想いが形になってあらわれたかのような、そんな、愛しさの証明。
弘也さん………
弘也さん、本当にありがとう。
大好き。
大好き、弘也さん。
「弘也さん弘也さん、弘也さん…………」
何度も、愛しい人の名前を呼ぶ。
手のひらの小さな虹に、弘也さんの虹を、あの鮮やかな虹色を重ねながら、
わたしは、一生忘れることのない彼との思い出を、カラフルに染めていこうと心に誓った。
一生色褪せない、とどまることのないカラフルに―――――――