「そう言うなよ、京。お前の叔父さんなんだからさー」






赤星の言葉に、一颯は「は!?」と声を裏返らせる。
一颯は知らなかったが、捜査一課課長の司馬は汐里の叔父に当たる人物だった。
汐里の母、琴子の弟が司馬である。
捜査一課では周知の内容のため、普段この話題が出なかったことが一颯が知らなかった理由だ。






「え、京さんのお父さんって義弟と相棒を組んでたんですか?」






「そう言うことになるな」






「……やりづらくなかったんですかね?てか、義理の兄弟で組むってありなんですか?」






「さあな」






汐里は興味ないかのように素っ気ない。
叔父が上司で、姪が部下。
何とも複雑な環境だが、本人達はあまり気にしていないように思える。
現に、汐里も司馬も身内贔屓というものを感じさせない。
だからこそ、捜査一課でも大きな話題にならないのだろう。






「……何か俺といい、京さんといい、身内の存在がデカい」





「いや、捜査一課課長は法務大臣に比べればマシじゃないか?それに、私は叔父、お前は実父。血の濃さが違う」






「いや、俺達からしたらどっちもどっちだ。なぁ、赤星」






「同感です。二人から見たら俺達なんか一般ピープルだわ」






変なマウントを取る一颯と汐里を、赤星と椎名は呆れた目で見ていた。
それを聞き捨てならないと言うように、汐里が二人に突っ掛かる。
話題がそれてしまい、実に下らない話になってしまっているが、一颯には幸せを感じられた。
死んでしまったら、こうはならなかった。
人を殺してしまったら、こうはならなかった。
過ちがなかったからこうして幸せを感じられる。






「……アイツに助けられたってわけか」





アイツ――神室は最初一颯と汐里を殺そうとしていた。
だが、何かをきっかけに殺さずに生かした。
きっかけがあったにしろ、一颯達が神室に助けられた……生かされたことに間違いはない。
憎くて恨めしく思うのは変わらない。
それでも、生かしてくれたことには感謝する。





そうでなければ、こうして笑うことは出来ないのだ。