「え、父さん。」
玄関の扉を開いた翔真の目の前には翔真の父・翔造が険しい面持ちで立っていた。
「久しぶりだな。翔真。…その恰好だとまだバスケやってるんだな」
「うん。」
翔真のバスケのチームジャージ姿を睨むように見てると、玄関の足元に靴が何足も出ていたので
「誰が来てるのか?」
「友達と彼女。」
「ああ…!!ユリちゃんか!久しぶりだな!!」
強面が一転、柔らかく嬉しそうな表情になった。
「いや、違うよ。父さんにも紹介したかったんだ。」
「何?」翔造が再び眉間にしわを寄せた時、
「翔真ぁぁ!!喉乾いたぁぁ水!!!」
玄関の目の前の風呂場の扉が勢いよく音を立てて開くと、
「ん?なんだ客か?でっけぇじいさんだな。」
シャワー直後の濡れた髪を結びながら、露出度の高い場違いな未茉の姿を見て絶句している翔造にもお構いなしに目をぱちくりさせてる。
「だ…だっ誰だ貴様はぁぁぁ!!」
怒鳴り声を上げる翔造を振り切るかのように、
「父さん紹介するよ。白石未茉さん。俺の彼女なんだ。」
彼女の肩にしっかりと手を回して真っ直ぐな言葉で紹介した。
「ん、この人翔真のパパか??」
「なんだ貴様のその言葉遣いは…」
「あ?」
「お…!!おじさんお久しぶりです!結城です!!」
「ど…どうもこんにちは…ご無沙汰してます。三上です。」
恐れていたことが起こっているその現場におずおずと出てくる二人に、
「なんだ君らか…まだバスケ連中とつるんでるのか。」
同じ目線の高さに身長はあるものの、やたら迫力のある図体ととげとげしい表情で睨まれた二人の表情は凍り付き固まっている。