「なるほど。ああやって女の心鷲掴むんだなぁ。勉強になるわ。」
髭をいじりながら想汰はしみじみと頷くと、
「アイツの緩急効いたシュートにみんなやられるんだなぁ。」
結城も三上もウンウンと頷いている。

「おい…想汰!話が違うじゃないか。健と未茉のために」
匠がこっそと怒りだすと、
「わり、俺もアシストばっかしてる場合じゃないからさ。」
にこっとららの方を見て微笑み、
「心配しなくても、健なら自分でなんとかするさ。人のアシスト待つような奴じゃないだろ。それに、未茉の相手に相応しいかどうかは、湊自身自分で気づくはずさ。」
挨拶代わりに手をぽんっと叩くと、ららを連れて出ていってしまった。


「さ、俺も行くかな。」
まるで他人事のように体を伸ばして立ち上がる健を実湖は見て、
「健は参加しないの?坊や達のバチバチに。」

「手ぶらでかよ。」
ずっと先の未来を見透かしたようにフッと微笑むその横顔は、遠くて、尊くて、どんなに背伸びしても届かなそうで…
「やだ!参加なんてさせない!健は実湖のもんだもん!!」
ぐっと腕を掴んで阻止を図った。