「翔真ぁー!!たっだいまぁー!!!」

未茉は北海道から帰宅後、明徳の体育館に向かうと長旅も疲れも感じさせずに自主練中の翔真に飛び付くように抱きついた。

「おわっ!」
急に後ろから勢いよく飛び付かれて、バランスを崩すも、翔真は嬉しそうに微笑み、
「おかえり。」
「おー。負けちまったけどなぁ。」
抱きつきながら甘えるようにその胸の中に顔を埋めると、

「あれ?翔真一人?みんなは?」
「帰ったよ。」
「ほえっ!?お前、一人?一人で練習してたの?」
「うん。」
「えっ!?マジ!?明日雪降るんじゃねっ!?」
「・・・。」

冗談を言ってみるものの、一人で自主練習をしていたわりには、冬にも関わらずいつも以上に汗をかいていた翔真を見上げて未茉はニッと微笑み、

「悔しかったってことか。」
「ん?ん。」
素直に頷く翔真を見て、ジャンプしてそのふわふわ頭をよしよしと撫で、
「夏は今度は全国優勝しょうぜ。」
「…ああ。」

「よし、じゃやるか!付き合うぜ翔真!」
「ありがと。」

「こぉらぁぁぁあっ!白石!!一年は片付けでしょうが!!!」

「げっ、やべ!!忘れてた!!」
背後から未茉の荷物を持ちながら怒り沸騰の二年の副キャプテンの矢野に怒鳴られ、
「わり、翔真あとでな」
謝りながらみんなの元へ走ってく未茉を見て、優しい目で微笑み、一呼吸ついて再びリングを目指した。