ブーッというバイブレーションの通知とともに、向こうからメッセージが送られてきた。

『今日の放課後、体育館裏で待っといてくれない?』

「これって……」

もしかして……!

さっきまで緊張で強張っていた表情筋の全てが緩む。

夏休み前のこの時期に、放課後の体育館裏に呼び出し……。
これって、そういうことだよね!?

「では今日のホームルームはこれまで。
お疲れさん」

ホームルームが終わると同時に、私は勢いよく教室を出た。
ニヤニヤとした顔を誰にも見られないように、手で頬を支え、ポニーテールを振りながら廊下を駆け抜けていく。

体育館裏に着くと、一人の人影が見えた。

そう、池田だ。

私は池田に気づかれる前に、深呼吸をした。
そして、ゆっくりと池田に近づく。

「い、池田!」

声を掛ける。

「あ、中岡……。
来てくれたんだな」

チャームポイントの黒縁メガネの奥にある目は、真剣そのものだった。

やっぱり、そうに違いない。

「どうしたの?こんなところに呼び出して」

ほとんどわかってはいるものの、私は池田にたずねる。

「俺、中岡に言わなきゃいけないことがあって……」

池田が私を見つめる。