時間どおりにモニターホンが鳴り、緊張気味に迎えてダイニングテーブルで向かい合った三ツ谷さんは。確かにナオさんと歳も変わらず、彼ほど愛嬌はないものの、わたしにもきちんと向き合ってくれている空気が伝わってきた。

「吉見とは高校時代からの付き合いで、時間が許せば飲んだりする間柄です。･･･離婚の相談を受けたときは正直おどろきましたが、本人の意思は固かった。家庭の愚痴をこぼすようなタイプでもなかったので、よくよく考えたうえでの決断だったんだろうと私も頼みを引き受けました」

目を合わせて静かに話し出したのを真剣に聞き入る。

「何かあったら新宮さんの力になってほしいと連絡先も渡されてたんですが、新宮さんが吉見をどう受け止めていたのかを計りかねてましたので。･･･諸事情があってクリニックの井上さんに協力いただいた次第なんです」

当然かもしれない。ナオさんの一方的な話だけでわたしの見極めなんてつかないだろう。つまり井上さんの判断に委ねられてた、三ツ谷さんに取り次ぐ価値があるかどうかが。

思わずテーブルの上で組んだ両指に力が籠もった。紙一重で掬われたような。信じたことがない神様を信じてみたくなるような。