一刻も早く三ツ谷という弁護士さんと連絡が取りたくて、マンションに向かう足が自然と小走りになった。

部屋に入ってバッグ置きしなスマホをタップする。6コール、7コール、応答がない。諦めて通話を切る。・・・と。すぐに折り返しが来た。

「も、もしもし・・・っ」

焦って上擦る声。

『新宮沙喜さんですね、初めまして。吉見の弁護を引き受けている三ツ谷と申します』

想像していたより柔らかい口調でその人は自己紹介をした。

『井上氏から連絡があったのでお待ちしてました。・・・色々とご心配されているかと思いますが、一度そちらに伺ってお話させていただきたいのですが』

わたしは次の休みを告げ午後1時の約束を交わした。





なにかがやっと通い始めた気がする。生身の人間に戻ってく気がする。何より。ナオさんがわたしの存在を明かしてくれてたことにいちばん掬われていた。それだけで報われたと思えたほどに。