「俺が好きになった笑顔。いつからか見せなくなって。幸せじゃないなら奪ってやる、そう思ったんだよ」


……ヒデは私と彼の微妙な関係に気付いていたってこと?

だからあのタイミングで、あのキスを?


「結依の中にも咲いたでしょ? 恋と言う名の桜が……」


一人でクスクス笑いだすと、さっきキスを落とした首もとに、再びキスを落としてきた……。


「ほら、桜の花びら」

「え、ちょっとヒデ! もしかしてつけた?」


慌てる私に未だ微笑するヒデにため息をつく。

まったく……。


「さーてと、結依つまみ買いにいこ?」


一人立ち上がり歩きだすヒデ。


「ちょ……待ってよ!」


私の声に反応して立ち止まり、差し伸べられる手。

今までだったらなかった行為。

何だかそれだけで、心がギューとなって温かくなる。

自然と顔は緩み微笑んでいた。



「ねぇ。そう言えば何で道知ってるの? この公園だって……」