「ハア……ハア……ッ」
息を切らせて建物の中に入った。それは最初に身を寄せた区役所だった。
スマホが使えないからみんながどうなったのかわからない。
それでも有野、高橋、おそらく工藤もやられた。となると、クラスメイトは残り八人だ。
ついに一桁になってしまった。
「……いつの間にか朝になってしまったわね」
先生が窓の外を見ていた。鬼ごっこ終了までまだ二日もある。これ以上誰も犠牲になってほしくない。
「少し休みましょう。ずいぶん走ってきたし、マリアの移動速度はゆっくりなのでこの周辺には来てないはずです」
「ええ、そうね」
俺は呼吸を整えるためにソファに座った。先生は自動販売機で買ったお茶を俺に手渡してくれた。「すみません。いただきます」とお礼を告げて喉に流し込む。
「きっと助けが来てくれるわ。今頃町の外で準備をしてるかもしれないし……」
「助けは……来ませんよ」
「え?」
俺はペットボトルを強く握りしめた。
「なにか知ってるの?」
無闇に不安を煽りたくない。でも自分の中だけで真実を抱えていることに限界がきていた。
俺はマリアがAIと呼ばれていることや優秀なAIは兵器として活用する予定であること。そしてそれには国が関わっていることなどを先生に打ち明けた。
「マリア以外にもAIが存在してるそうです。なんで俺たちが鬼ごっこに参加させられたのかはわかりません。でもおそらくなにかを試すために行われてるんだと思います」
その〝なにか〟は検討もつかない。
先生は俺の話を黙って聞いていた。信じてもらえないことも想定していたけど、先生は「話してくれてありがとう」と言ってくれた。



