「もうママひどいよ! なんであの子に冷却スプレーを渡したの?」
屋上から出てマリアの元に向かうと、頬を膨らませて怒っていた。永人に突き落とされて色んなところがボロボロだけど文句を言えるくらい元気だ。
「渡してないよ。手が滑って転がっていっちゃっただけ」
「本当かな?」
マリアは疑っていたけど、鬼ごっこの勝敗に興味はないようで悔しさも感じられなかった。
「三花。お疲れ様」
私のことを労うように現れたのは先生、いや、母だった。
永人に説明したことは全部真実だ。
私はこの人のお腹から生まれてあの洋館で育った。
なに不自由ない生活を与えられていたけど、母はAI研究の第一人者で地下室に籠りっきりだった。
その寂しさから見よう見まねで覚えた技術でマリアのことを作った。
マリアは私の言うことならなんでも聞く。母よりも長い時間を私はマリアと過ごしてきた。



